【独占取材】/”主将”兼”大黒柱”水江日々生 「リーグ1番の投手に」

ーー先日発表がありましたが、来季からは主将に就任しますね。どうなっていきたいと思っていますか?

チームの中心でやっていくのは今までと変わらずです。周りがついてくるような選手にならないとだめだし、逆に、引っ張る選手でもあり続けないといけないと感じています。これまでは野手キャプテンが多いんですが、打てなくて、ミスして、落ち込みたいのに、それを我慢することがよくあったと思います。でも投手は、安定している。新しい雰囲気になるんじゃないかなと思っています。

ーー安定、とは?

野球において、投手が唯一主導する立場。野手は受け身で、投じられたボールを打ったり、飛んできたボールを捕ったりです。その点、投手は自分がボールを投げてプレーがスタートする、そう言う意味で主導的な部分がある。自分がガッといければ、チーム全体もガッとなれると思います。

ーーこれまでの三年間の通算成績は138イニングに防御率2.15、6勝です。どの数字を一番自信に?

防御率が低いですね、意外と(笑)。防御率は3季連続で2.50前後に収まっています。これは歴代、先発をやってきた投手の中でも、なかなかない数字だと思っています。

ーー防御率を強く意識している?

はい。安定感にこだわり、調子のいい・悪いをそれほどはっきりさせないようにしてきました。

ーー元千葉ロッテマリーンズの田中英祐さん(2014年卒)の大学通算成績は、380イニングで防御率は2.25、8勝31敗です。

半端ないですね。田中英祐さんの時代と今とは、全然違う。京大と私大のレベル差が、あの頃はとても離れていましたが、今は近づいています。京大にも上手い選手が多くなってきたと思っています。自分はバックの守備に助けてもらうことも多いです。それに、怪我をしないで380イニングもすごい。自分が380イニングも投げていたら怪我をしそうです。

ーー田中さんはプロ野球選手になった。水江投手は大学を卒業しても野球を続けたいのですか?

4回生の後も続けるつもりです。社会人や、その上のレベルで、というのは目指してやっています。

福岡ソフトバンクホークスから育成7位で指名された水口創太:10月20日、京都大学構内

ーー今年は水口創太投手がソフトバンクから指名された。プロの世界が現実味を帯びたのでは?

そう簡単な話でもありません。大学野球に関しての知識が僕にもついてきました。この2〜3年間、この選手でも育成なのか、というケースを多く見てきました。なかなか厳しい世界なんだなと改めて思います。水口さんも支配下での指名があるんじゃないかなと思っていたけれど、育成指名。ちょっとびっくりしました。

ーープロの壁が高く見えた?

今の自分にはわからない何かを持っている人が、支配下で指名されるんだなと。まだまだ先はあるんだな、野球は奥深さがあるなと。

ーーレベルが高いなと思ったんですね。ただ、野球は続けたい?

そうです。これでラストかなと思っていると、要らない感情が入ってくる気もして。

ーー要らない感情、とは?

最後だから良い感じで締めたいと思ってしまいそう、目先のことを求めちゃいそうです。チームで勝てないと考えすぎちゃう。野球を続けようという意識だと、いつまでも、野球をうまくなろう、上達させようという気分で、これが良い働きをするんじゃないかなと。ただ、大学野球は実際あと一年で終わる。最後だから、と出てくる力もあるとは思います。目先のものにとらわれない自分の姿勢が、チームにも良い影響を与えられるかな。

ーー今年の秋リーグを振り返っていただけますか。

序盤からなかなか勝てませんでした。チームとしてやろうとしたことが上手くいかない状況で、自分としても、なかなか乗り切れませんでした。

ーー水江投手が抑えても得点が入らなかったりと、苦しい2ヶ月でした。

先発を任されている以上は、味方が取ってくれた以上の点はやってはいけないと思ってました。1点も取れないなら、1点もやっちゃいけない。点を取られるたびにとても悔しい思いをしていました。

ーー指名打者制を採用していないリーグで、投手も打席に立ちます。9月24日の立命館大学戦では、水江選手のタイムリーがチーム唯一の得点でした。

バッティングに自信はありませんが、球を見極めたり、前に飛ばないなりにカットして球数稼ぐのは上手くできます。

ーーその時使っていたのは脇悠大さん(先々代キャプテン・現コーチ)のバットだったそうで。

やっぱりバットが違いますね、あれが脇さんのラストヒットですよって言いました。

ーーこれからも脇さんの魂の乗ったバットで?

折ってしまいましたけど、代わりのバットをもらいました!

9月24日、水江(写真中央)の中前適時打で先制。一塁コーチには前キャプテンの出口諒(写真右)

ーー自身は投手陣の大黒柱。期待できる後輩にはどんな投手がいますか?

結構良い選手が多くいます。西宇(陽、投手・大教大池田②)とは仲良くしています。伊藤和都(投手・大教大池田②)や中野(翔貴、投手・守山①)、米倉(涼太郎、投手・洛星①)もなかなか良いです。まだ下回生で、ついこの前まで高校生な訳で、どう化けるかという段階。来年どうこうという感じではないですけどね。

ーー他大学でライバル視をしているのは?

投手では執行(大成、関西学院大学三回生)かな。自分と同時期の二回生の秋から先発しています。タイプもよく似ている。コントロールよくテンポよくというピッチングスタイルが被りながら、執行のほうが成績が良いんですよ。野手では近大の坂下(翔馬、近畿大学三回生)。抑え方がそろそろわからなくなってきましたね(笑)自分くらいの球速だと、空振りしてくれませんが、ひと冬明けて、自分が行けるところまで行きついたら、抑えられます。

ーー自分の持ち味を改めて教えてください。そして、来季に向け、この冬に何をするか。

カットボールを中心に、変化球もストレートも満遍なくいつでもカウントを取りに行けますし、狙ったところに投げられます。制球よくテンポよく、が自分の持ち味です。優勝を目指すとなり、今の僕はリーグ9番目くらいの投手です。リーグ1番の投手になりたい。そのためやれることは全部やりたい。球速をあげたいし、直球の質を良くしたい。そしてキャプテンなので、絶対に怪我をしないように。(了)

水江日々生:投手:法学部三回生:洛星高校から浪人を経て2020年に入部。2021年秋から先発として活躍を始め、今季は第一戦の先発を多く任される。関学の西隼人、近大の久保玲司、同志社の髙橋佑輔など名だたる四回生エース投手と対決してきた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です