選択肢
①村尾昴紀投手(右投、4・三国丘):下回生の頃からリーグ戦でリリーフの経験を積む、速球派右腕。
②青木健輔投手(左投、3・東海):変則左腕であり、左のワンポイントとしての起用を前節の関大戦でもされていた。
③徳田聡投手(右投、4・北野):前節では最終戦の5回に登板し、1回無失点という成績で勝ち点獲得に貢献した。
④牧野斗威投手(左投、4・北野):前日の試合にリリーフ登板し、2回無失点と好投。



──村尾投手でいくと決断した根拠
②青木健投手に関して
タイミングっていうところで、健輔と西宇で、球速帯が割と近くて、健輔も(ボールに上手く)合わせられるとイヤというピッチャーです。相手打者が西宇にタイミングが合ってきていたので、健輔はやめておこうと思いました。
③徳田投手に関して
徳田を使うと3回表でピッチャーのところに(打順が)回るっていうところでした。それもあるし、水口(創太、4・膳所)の状態が良くないっていうのを試合前に聞いていたので、なるべくそれ以外のピッチャーで、水口を出さずに乗り切りたいと思っていました。徳田もこの1ヶ月基本的に1イニングしか投げさせていなかったので、「火消し」からのもう1イニングはしんどいかなっていうのはありました。あくまで理想論なんですけど、「火消し」をさせた後は交代させるのが自分の中では理想かなと思っていたので。徳田をそこで使うと試合トータルが絶対に回らないという判断から、根本的に勝ちの可能性を消しちゃうかなって思いました。
④牧野投手に関して
牧野には「火消し」の経験が無かったので。
悩んだ末に①村尾投手を選択した
村尾には「火消し」の経験があるので、ああいう場面でも精神的な面では大丈夫かなっていうのがありました。この前の打撃投手の時に村尾はフォークが決まっていて、カーブも入れながらなんですけど、ストレートとフォークは使えるかなっていう状態でした。左打者1人か2人かというところで1アウトを取れる力はあるかなって思いました。自分の中で、球威があって、アウトを取れてっていうピッチャーで言うと村尾でした。
* * *
結果的に、三原自身「ギャンブル」と言った継投策は失敗し、京大は2回に4点を失うこととなった。試合後近田監督は「勝ちや勝ち点がかかっている場面でのギャンブルにはリスクの大きさが伴う」と評し、三原主務に「思いっきり反省して」と話した。
だがその一方「『ギャンブル』を思い切って実行したことは評価できる」とし、また村尾投手に関しても「本来『火消し』でいくべき投手なので、次の機会に結果を出してほしい」と語った。
継投はあくまで「結果論」であり、その作戦には「イフ」は存在しない。プレイヤーは人間であり、全てがデータ通りにいくわけでもない。一瞬の選択が、試合展開そのものを決める、いわば野球の醍醐味でもある「継投」。最適解を求めた三原主務の模索は、これからも続くのである。