2022年の京都大学硬式野球部で最も注目が集まるのは、この男だ。
194㎝の長身から150㎞を超える直球を繰り出す右腕、水口創太(新④・膳所)がリーグ戦での優勝、そしてNPB入りを目指し、奮闘している。
野球を始めたのは小学2年生の時だ。幼い頃から周りより身長は高く、6年生の時には既に169㎝もあったと言う。当時からポジションは投手で、小中ではチームの1学年上に京山将弥(近江→横浜DeNA)がいた。中学時代は滋賀県の進学校である膳所高校に進学するため、勉強との両立を考えて地元の中学校の野球部でプレー。中学校では成績は上位だったが、膳所高校入学後は野球部の練習が忙しく勉強に手が回っていなかったという。高校時代は怪我がちだったが、球速は130㎞を超えていた。一浪後、京都大学医学部人間健康科学科へ進学し、京大野球部に入部する。大学での初登板は2年春の近畿大学戦で、「特に緊張はなかった」と、彼の精神力の強さがわかる。

球種はストレート、カットボール、フォークで、すべての球種でストライクを取る自信がある。ストレートはインコース、アウトコースに自信のある球を投げられる。カットボールは芯をずらすものと空振りを取るものを投げ分けていて、どちらも完成度は高い。フォークはとにかく高めに浮かないように注意して投げていると言う。
マウンド上では常に平常心で、ロジンを付けるなどして間を開けて自分のリズムで投げ込む。体は大きいがクイックは遅くなく、牽制も素早い。フィールディングは得意ではないと苦笑いしながら話していたが、そつなくこなしている。フォアボールを出さないことを常に心がけていて、「フォアボールを出すなら打たれた方がマシ」と語るが、ボールを置きに行くことはほぼなく、力強いボールを常に投げる。
今春のリーグ戦に向けて、冬場はウェイトトレーニングに取り組み、身体作りに注力した。リーグ戦が近づいてくる春先には、瞬発系のトレーニングを重点的に行っている。水口は、瞬発力や跳躍力に秀でており、幅跳びやジャンプBOXではチーム随一の記録を誇る。

最終学年となる今年は、リリーフでの起用がメインと予想されるが、水口本人もリリーフの方が適性があると言う。昨年もリーグ戦が開幕してすぐの試合では、いつ登板があるか分からないという緊張があったが、リーグ戦の後半になると次第に慣れてきて、自然体で出番を待つことができたと話す。大学での最長イニングは4イニングだが、チームの勝利のため、いつでも準備をしてフル回転する覚悟だ。
2022年の目標を聞くと「とにかく優勝したい。そして育成でもいいからNPBに行きたい。そのためには真っすぐの球速だけでなく、投手としての総合力を上げ、試合で結果を残すことが必要になってくる」と強く語った。悲願のリーグ戦優勝、2014年の田中英祐氏以来となる京都大学野球部から直接のNPB入りへ、水口創太の活躍を見逃すな。