関西学生野球連盟春季リーグ戦の開幕まで残す日も僅か。京都大学の近田怜王監督にとって今春は、監督として迎える初めてのリーグ戦となる。
「正直、緊張とかはまだないですね」
コーチ、助監督のときと比べて、試合オーダーや攻撃中のサインなど考えることは増えても、試合中にベンチでやることは大きく変わらないため、試合前の緊張はないと言う。監督としての責任感については、「攻撃のサインを出すというのはこれまで経験していなかったことなので、監督としてサインの意図を定めなれけばならないという所には責任の大きさを感じています」と話す。合理的で明確な根拠を持った上でプレーをするという “京大らしい” 監督像が垣間見れる。
“新”京大のチームカラーについては、「監督として最も重要視しているのは守備です。今年に限らず、今後もその意識をチームに浸透させていくつもりです」と守備から崩れないチームづくりを目指していると語る。その守備の中枢を担うのは、昨年から正捕手の愛澤だ。近田監督も「昨年からの出始めでまだ一年しか経験していないので、(愛澤のことも)支えつつではあるが、信頼を置いて守備を引っ張ってもらいたい」と、愛澤中心に守り勝つ野球を構想している。

リーグ戦経験者が少ない今年は、「新しい戦力をリーグ戦で経験させながら、ノビノビとプレーさせられるかというのがキー」と近田監督は語る。そのためにも愛澤らリーグ戦経験者による統率は欠かせない。
最速152km右腕の水口、野球のプレー経験のないデータ専門部員の三原データアナライザ、さらに元プロ野球選手の近田監督と、今年は何かと世間から注目されるシーズンになることが予想される。チームとして注目されることについて、近田監督は次のように話した。
「個人的にはすごく良いことだと(思う)。京都大学の名が広まるということもありますが、メディアの方々が取り上げてくださることで選手達の意識が変わってくる。いろんな方が練習や試合を観に来られて、選手たちも生半可なことはできないというような自覚が芽生えてくれると日々の行動も変わってくると思います。プレーにも良い意味でプレッシャーもかかってきますし、注目されることによる良い効果を期待しています」

チームの目標には今年も”優勝”を掲げている。京大が優勝と言うと、世間的にはあまりピンと来ないのかもしれない。近田監督は次のように語る。
「僕は野球だけできた経歴です。勉強でいうと京大は日本でトップクラス、野球でも大学トップレベルのリーグで、京大が優勝を成し遂げる。そんな京大野球部を今の小中高の学生が見たときに、『勉強にも野球にもハイレベルで取り組めて、リーグ戦では優勝もできる、そんな面白いことはない』と憧れを持ってくれれば、日本の野球界にとっても良いことだと思います。小さな部活動の一つですが、そうやって周りに良い影響を与えられるようなチームというのを実現できれば(学生野球が)もっともっと面白くなるし、そうなることが夢というか、期待していることです」
この春、京大旋風は巻き起こるか。